HXの考え方の核は、「思考の拡張」と「思考の反転」です。前者は、ユーザーの周囲から社会全体に至るまでの空間軸・時間軸の影響にも考えを巡らせること、後者は、製品やサービスが与えるネガティブな影響にも真摯に正対する姿勢で包括的に取り組むことです。ロゴデザインのディテールは、HXの包括的で柔軟な全体論的アプローチを表現しました。正円のグリッドによって、Holistic(全体性)とInclusive(包括性)、Flexibility(柔軟性)を示しています。2つの文字間の距離などを緻密に計算し、意図を主張しすぎないデザインに落とし込みました。
Oneness for good design.
Moving toward to
a better future together.
HX-Human Experience Logo Design
概念を視覚的に表すロゴとグラフィックをプロフェッショナル同士で共創
- Client
- 株式会社デンソー
- Scope
- グラフィック制作, ロゴ制作
デンソーデザイン部は、自動車産業のプロダクトデザイン・UIデザインをはじめとして、有形・無形のデザイン開発を行っています。アクアリングは、デンソーデザイン部が提唱する新たな概念「HX(Human Experience)」のロゴデザインとグラフィックデザイン制作の支援を行いました。ユーザーの利用体験にフォーカスする「UX(User Experience)」をさらに拡大し多様なステークホルダーの体験や環境全体への影響を包括し、社会全体の幸福に寄与するデザインを目指すのがHXです。ロゴとグラフィックの土台となるイメージは既に完成していました。アクアリングが担当したのは、HXの持つ概念をデザインに落とし込むためのディテールのブラッシュアップです。
グラフィックデザインのディテールは、人間の頭の中にある混沌とした思考が、アイデアとして整理されながら波及していく世界観を表現しました。
人物のシルエットに正円のグリッドを用い、髪の毛のうねりとグラデーションを思考に、そこから徐々に現れる粒をアイデアに見立て、同心円状に配して広がっていくさまを示しています。
媒体に合わせて縦横にトリミングしても世界観が損なわれない構成です。ロジカルでありながら視覚的に伝わるよう、対話を重ねながら徹底してテクスチャを磨き抜いていきました。
ロゴデザイン、グラフィックデザイン共に、デンソーという企業そのものの世界観との調和も意識しています。堅牢性のあるデザインでありながらも、将来的にはディスプレイで動的に表現する可能性も視野に入れています。